先日ご来店されたお客様。
妊婦さんと、1歳前の赤ちゃんを連れたお母さんの3名さん。
お互い敬語を使っていたので、オフ会かなーと推察。
しばらく楽しく話をしていたが、食事が始まるとチビちゃんがグズって泣いてしまった。
立ってあやしながらなおも会話するも、更にグズグズに。
困ったお母さんは、子供用の椅子ごと壁際に持っていき、そこで上映していたアニメと対面させた。
お母さんは席に戻り、会話を再開。
ゆっくりご飯を食べ始めた。
チビちゃんは壁に向かって一人ポツンと映像を見ていた。
この様子を見た旦那がブチ切れた。
「ちょっと怒ってくる!」
いやまてまて…。
私は止めた。
すごく理解ができないことかもしれないけど、今は他にお客さんがいない。
子育てって複雑で、家族だけならできることも相手がいるとできない事がある。
もちろん「ダメなことだ」を、前提で言う。
例えば階段で遊ぶ子。
ダメしかない。危ないし迷惑だし、そもそも遊ぶところではない。
だから家族といるときは強く叱る。
でも、お友達親子が一緒だと状況がかわる。
「ジャンケンポン、パイナップル」とかお友達同士で始まってしまったとき。
「階段で遊ばない!」と、即座に言えるお母さんがどれだけいるか。
更にお友達が3人、4人と増えたとき、どれだけの方が即座に皆を注意できるか。
もちろんそれでも注意をする常識的な方もいる。
でも、通常時より確実に半減する。
なぜなら常識よりも「空気を乱したくない」が最優先になってしまうからだ。
自分が言わなくても、誰かが切り出すだろう。というKY待ち状態。
言ったら言ったで「自分のせいでこの輪が乱れた」という罪悪感も背負う。
前提でいうが、公共の場で団体で野放し状態の園児ほどマナーが悪いものはいない。
注意するべき親がヒヨルのを、子供もわかっているからだ。
で、とにかくその場を取り繕うために、本来は決してしないような非常識を「やらかす」ことってとっても多い。
だから、帰り際にこっそり「階段で遊んだら本当はダメなんだよ」って我が子に言う。
罪悪感でいっぱいだから。
つまり分かってやっている。
そんな事が子育てでは非常に多い。
自分だけなら言うけど、子どもが関わると守りに入ってしまう。
群れがちな女性ほど見て見ぬ振りをする。孤立を怖がる。
本題に戻るが、こういう独特で言葉で表しづらい状況が、子育てを一度解脱した私には理解できた。
このお母さんは本当に非常識なのか。
同席しているお友達に精一杯気を使っての間違いではないのか。
そんな状況が一切理解できない子育て4年生の旦那は、広い店内の端っこで壁を向いて一人でポツンと動画を見せられ座っている子供を見て、顔を真っ赤にしながら泣き出してしまった。
「子供があんまりだ…」と。
旦那が正しい。
でも、待てといった。
厨房ですすり泣いている旦那の気持ちがわかり、貰いそうになった。
実は旦那の両親は簡単に言うとネグレクトで、旦那は食事を作ってもらった記憶も無い。
幼稚園にも行けず、小学校で始めて団体行動に触れ、字もかけず数字もわかず教室で泣いていたそうだ。
…‥まさかの平成生まれの話だ…。
いろんな背景を知っていただけに、涙の深さが分かり心苦しかった。
とりあえず今は誰もいないから。
お母さんとお友達と話させて、食事を進めさせてあげよう。
と、なだめ、誰か来てもアレだったら行きなさい。と言った。
結果、私の思った通りだった。
他のお客様が来るやいなやチビちゃんを抱っこし、椅子も片付けた。
チビちゃんも端っこで抱っこして寝かせ、その後は他にもよく気を使ってお食事を楽しんでいた。
根が非常識な方ではなかった。
ただ、お友達との関係を大切にしつつ、子どもがグズって追い詰められてしまい、ちょっと手を抜いた形がアレだったのだろう。
この一瞬の手抜きでお母さんがどれだけガス抜きできるか。
理解できなくてもいい、でもこういうどうしようもない状況が子育てには絶対ある。
あのとき旦那が怒りに任せて注意したら…正しいことでお母さんを八方塞がりにしてしまう。
そして子育て0年生である妊婦さんのお友達との、大切な時間がギクシャクしてしまう。
全てを理解して対処するのは難しい。
実際、野放しで他人に迷惑しかかけない親もいる。
ただ、この人そうじゃない…って少しでも感じたら、ちょっと様子を見てほしい。
もちろん団体の幼児の野放しは怒鳴っていい…(涙)
伝え方が難しいけど、子育ては万能ではない。
見逃せと言っているわけじゃない。
注意してーって煽ってるわけでもない。
黙っててと静止しているわけでもない。
ただ、旦那に「あなたがこの状況がおかしいと思う人で良かったよ」と伝えた。