ASDのただの主婦

       ASD診断前から診断後も続投ブログ。ASD目線だからこんな思考だったと後からわかるの巻。

娼年

10年近く前、仕事終わりに一人で映画館へ行くのが趣味という男友達が、

「今日はヘルタースケルターを見に行くのを楽しみにしてたんだ。」と、話しかけてきた。

 

女優として沢尻エリカさんにさほど魅力を感じていなかったので、「へぇ、好きなの?」と聞いたら、「好きではないけど、脱ぐらしいじゃん。男なら見ておきたいよね。」エッヘン。

という感じでウキウキしていた。

 

…気になったので、私も一人で見た。

 

何というか蜷川ワールド全開すぎ。

沢尻エリカさんも「しばらくリリコが抜けなかった。」というほど…?のインパクトも無かった。

 

背景が派手すぎて頭に入ってこない。

「へぇ」と、外した。

 

リリコと言うか、最後まで「沢尻エリカってこんな人だろうな。」というイメージのままだった。

 

演技というか地を見た感じ。

 

綾野剛さんと寺島しのぶのさんラブシーン??あれ、なんだ?

ヘラヘラと締まりもなく終了。宝の無駄遣い。

 

せっかく「リリコ」というモンスターの様なキャラクターの、真の狂気や欲望、美への執着心や嫉妬、心の葛藤などの表現が映像美に侵食され、余りにも稀有で拍子抜けした映画だった。

 

冒頭の脱ぐシーンも、窪塚洋介さんとのラブシーンもいかに美しく抱かれるか、映像化するかが見えてしまい、女優として振り切れていない演技が中途半端で残念だった。

 

ただ、決してキレイとは言えない体型を差し替えずに撮った覚悟は見えた。

なにかの映画で裸体を差し替えていた大竹しのぶさんを思い出した…。

 

昔AVを見たとき、最終的に女優さんたちのスタイルの良さに感服した。体の線が凄い綺麗。

 

前の旦那に、みんないじってキレイにしてるんだろ。

っていわれたけど、そうだとしても羨ましいくらい整っていた。

 

相当プロ意識が強くないと自信を持ってさらけ出せないだろう。

 

男は行為としての欲望だけなんだろうけど、女性から見ると結構自分と重ねる。  

 

スットンキョウな声出してないかな。とか、二重顎で白目向いて無いかなとか。

一所懸命合わせながら、結構上の空で自分のことしか考えてない。

 

「美しく抱かれる」って女性として相手に不快感を与えない気遣いでもあり、マナーなのかなって思う所があるからだ。

 

ブスを抱かせるのは申し訳ないから。一番キレイな自分を見てほしい。と、下着にもこだわるわけだ。

 

それもこれも心から相手を思うがゆえの気遣いなのだが、きっと男性諸君にはミリも伝わってないんだろう…。

 

…女性は結果より経緯なのよ。

 

 

自分が歳を重ね、伴侶に恵まれ子供もできた。

 

清廉潔白であり、仏様のように煩悩に打ち勝つ精神を持ってこそ親。

 

とか思い込み、歳を取るたびに性への関心は罪ではないか。

とか、年齢で垂れた胸やお尻を出すことは相手に失礼であり、恥なのではないか。

嫌われやしないか。とか、色々悩みはじめた。

 

きっとそういうご家庭って多いと思う。

異性として見れない。家族は抱けない。きっとある。

 

でも誰にも言えない。

でも性欲は消えない。生き物だから。

 

だから携帯で不倫したり、アダルトコンテンツで満足したり横に逸れる。

 

それも場当たり的な回避策かも知れないけど、リアルには到底敵わない。

 

そんななか、イカゲーム見たさに契約したNETFLIXで、娼年を見つけた。

 

 

イカゲームは私的に面白くなかった…。

 

どちらかというと梨泰院クラスのイソの方が可愛げに溢れ面白かった。

 

 

もとい、「娼年」は、昔の友達が沢尻エリカさんが脱ぐのに興味を持った感覚と全く同じ好奇心。

 

松坂桃李さんが脱ぐ。に、期待して見た。

 

 

結論、下心ありきの自分が恥ずかしくなった。

 

 

内容的には陳腐で、また主人公の身の上も子無しのメルヘンが作った話だな。と、現実離れしていて官能小説の様だった。

 

女性には理由がある。

という何かは伝わるが、正直「なんでやねん」連発。

 

だがしかし要はそこではなく。

単純に役者として松坂桃李さんの覚悟が凄すぎて圧倒された。

 

正直、最初から最後までヤりまくっているのに私的にエロさを感じなかった。

 

松坂桃李という人の圧倒的な自然体が美しい。肉体も人当たりも。

あの中でいて透明。

 

行為そのものも、きっと松坂桃李さんでは無く「リョウ」を追求してる気がした。

知らんが。

 

…って、これが製作側が意図した見方なのか、単純に下心のまま喜ぶ作品なのかよくわからないけど、「この人凄いな」って凄く尊敬したし、松坂桃李と言う人を男としてではなく役者として好きになった。

 

完全に振り切っていた。格好いい。

 

以前「エイプリルフール」の公開時、「格好良くない役。悪い役もどんどんやりたい。」と言っていたのを覚えている。

 

松坂桃李さんは木村拓哉さんみたいに、「どの役も木村拓哉」ではなくなってきた。

 

アオハルばかりのキラキラ俳優を脱却した彼は、今後も残る気がする。

孤狼の血でも弾けてたし。応援したい一人。

 

 

娼年の内容はマニアックだけど、レスの夫婦はエンターテイメントとして一度一緒に見てみれば?って思う。

笑えるっちゃー笑える。

 

でもきっと自分の目の前にある壁に少し亀裂が入って、パートナーと近づく勇気はもらえるかもしれない。

 

受け止め方に男女差がかなり出ると思うけどさ。

 

女性としてキレイに抱かれたい。

ではなく背景も全て魅力で、歳や体型も嗜好とか理屈じゃなくて、人間って綺麗事じゃないんだ。と、私は何かが軽くなった。

 

歳をとった自分、体型が崩れた自分を引け目に思ったり、恥じるのではなく、お互いを認め合うって大切だ。

 

AV見て自分には魅力が無いしキレイじゃない…と、視覚的に落ち込むのは何とナンセンスなことだろう。アホか。

 

比較対象が裸のプロフェッショナルではないか…。

 

 

 

自分の頑固さをちょっと笑った。