我が家の25歳の長女はASDである。
サヴァン症候群もある天才肌なのだが、それを象徴する出来事がいくつかあった。
その中のエピソード。
長女が小5の時、学校の先生に「白いたんぽぽ」の話を聞いたらしい。
西日本ではさほど珍しくもないのだが東日本ではそこそこ珍しく、私は見たことがなかった。
彼女もそう説明されたそうなのだが、
「何十万本にひとつくらいなら、近所の土手にもあるかもね。」という先生の適当な発言を信じて、帰ってくるなり「白いたんぽぽを探してくるから土手に行っても良い?」
とか言い出した。
河川敷は危険なので禁止だ。
しかし高さが10m位ある盛り土の反対側が、川に沿って6kmくらいの長い原っぱだったのでよく遊んでいた。
「水場には近づいちゃダメだよ!」と念を押した。
彼女は小さいときから「四つ葉のクローバーの探し方」が異常だった。
クローバー畑の真ん中に立つ。
下を見る。
すぐに「これとこれとこれ。」と、指をさす。
…軒並み三つ葉以上。
四つ葉どころではない「五つ葉」「六つ葉」まであった。
私は下の妹弟達と這いつくばって選別しているのに、長女は立ったまま探すのだ。
しかも超早い。
金にはならなかった長女の特技である。
その長女が土手に白いたんぽぽを探しに行った。
きっとすぐに見つけるんだろうなーと思ったら、夕方になってようやく一本見つけて帰ってきた。
「ママ、あったー」
私は価値を知らないので、「へーすごいねー白いねー」と言った。
長女は「押し花にするんだー」と、上機嫌で部屋に戻った。
後から知ったのだが、シロバナタンポポというものは3月から5月の春頃に西日本を中心に繁殖する植物だそうだ。
住まいは東日本、そして彼女が土手に白いたんぽぽを探しに行ったのは夏休み明け…。
色んな意味ですごい確率で見つけたのだなと…。
実際土手にはたんぽぽすら生えていなかった。