長女25歳ASD
母46歳ASD
地獄の会話が始まる。
長女「今日昼は何食べよ…」
母「それ!それさー久しぶりだからおいし…」
長女「ココス行きたいんだよね。行ったことな…」
母「やーだよー昨日も次男といっ…」
生協の車が目の前を通り過ぎる。
長女「えーいってみた…あーー今日生協来る日じ…」
母「生協って言えばさー…」
長女「肉と野菜と…牛乳頼み忘れたか…あー締め切ったかなー…」
母「サンプルもらえる牛の絵のヤツ良いよね!」
長女「…あ?」
母「あ??」
おわかりだろうか。
お互い最後まで聞かずに話題を被せるため、徐々に本質から離れていき、しまいには何もかも見失っているのだ。
これぞASD同士の、地獄の会話である。
長女に関しては途中から完全に自分の世界に戻ってしまっている。
意識が一旦「帰宅」しているのだ。
私に関しては、まず「話を聞く気がない(興味がない)」前日行ったのにココスなんか行くもんか!
と、いう意志をゴリ押しするために無理やり話題を変えようとしている。
「牛の絵のやつ」というのは「パルシステムのこんせんくん」である。
これが私には見えているが、無論長女には見えていない。
そして長女が利用している「生協」は正確には「co-op deli」であって、「パルシステム」ではない。
私の会話の意図には、
「サンプルもらえる牛の絵のやつ良いよね。(今やっているco-op deliよりパルシステムのこんせんくんマークの商品が、小さい子がいるご家庭におすすめだけど、ちょっとお高めだから無料サンプル頼んでみると良いと思うよ!)」
ここまで含まれている。
どう察すればこの意図が相手に伝わるというのだろうか。
しかし長女も負けていない。必殺「過集中」だ。(でもないけど)
長女は「何を注文したか」に意識が持っていかれているので、会話から完全に離脱中。
何も聞いていない。
そして、彼女の「…あ?」は、一瞬我に返った「…あ?」であり、まさかの「何の話し?」の聞き返しではない。
つまり同じタイムラインに彼女は存在していない。
意識そのものはいまだ自宅にいて、co-op deliで頼んだものを「カメラアイ」で思い出し、頭の中で映したリストを復唱しているのだ。
そして止めの母の「あ??」
必殺「オウム返し(エコラリア)」である。
親子でそろうと凄い世界だ。
最早おもろい。
正直、素直に笑ってあげてほしい。