前回に続く。子どもの面白エピソード2
◆貝殻の通貨◆(長女13歳、次女9歳、長男5歳)約12年前
とある番組で
「現代っ子はものを与えられすぎていて、何もないところで遊べない。」
という話題を取り上げていた。
我が子も「DSとかWii」にどっぷりで、「すれ違い通信やるから仕方がない」とか理由をつけてDSも持ち歩くようになった。
かろうじてキックボードに一輪車、ホッピング、竹馬が流行っていたのと、当時裏が公園だったので外遊びはしていた。
ただ「何もないところで遊べるか」と問われると、どうなのかなぁ…と疑問。
なので、ある日3人を「砂浜」へ連れて行った。
何もないだだっ広い海と砂浜。
「さぁ、遊んでおいで。」と無茶振りした。
私は防波堤のような段差のあるところに座って本を読んでいた。
子どもたちはしばらく波打ち際で走り回ったりしていたが、10分もしないうちに「…で??」という空気が漂い始めた。
母ガン無視。
そのうち長女は一人で端っこに行き、穴を掘り始めた。
次女と長男は貝殻を拾い始めた。
この貝殻、浜辺にアホみたいに落ちているのに「それ私のー」「全部取ってずるいー」という謎の諍いが何度もあった。
そして次女が、今度はゴミを集めてお店を開いた。
次女「いらっしゃいませー」
自動的に長男5歳がお客様。
「これください。」長男が指したゴミに対し、次女は「キレイな貝殻5個です」と、値段をつけてきた。
「はいわかりました。」と、せっかく集めたキレイな貝殻を次女に5個渡す長男。
そして手に入れた「何の価値もないゴミ」
この「ゴミ」の方に興味が移った長男は、一生懸命キレイな貝殻を探し「ただ座っているだけの次女」に渡しては「貝でゴミを買って」いた。
次第に「プレミアム商品と名付けられただけのゴミ」が登場した。
次女は欲しいという長男に「ダメです。これは貴重なので売れません。」とか渋る。
渋られると欲しくなっちゃう長男。
そこで次女が発した信じられない一言
「今まで売ったものを全て返してくれれば差し上げます。」
…結局長男は「大量なキレイな貝殻」も「今まで買ったお宝」も全て次女に奪われ、残ったのは「プレミアム商品と言われたゴミ」1個。
スッテンテンにされていた。
「何かがおかしい…」(5歳)
次女はさほど労力もなくキレイな貝殻を沢山集め、長男に売った商品も取り戻した。
なんならもう一回お店を立ち上げることも可能だ。
「何かおかしい…」けど、「何がおかしいのか」がわからない。
これを社会では「カモ」という。
わからないけど何だか面白かったようで、今度は2人で「プレミアム商品」探しを始めていた。
この2人、後に「消えてなくなれ!!」くらい仲が悪くなるが、今現在2人でカラオケ行くくらい仲が良い。
私は一人っ子なので、姉弟っておもろいなーっと思った。
そんな感じで「今あるもの」を利用して遊べていたので、「与えなくてもどうにかなるんだな」と、感じた。
そして日が暮れるまで遊ばせた。
…長女のことをすっかり忘れていた。
長女は一人、素手でひたすら穴を掘り続け腰まで埋まっていた。
何の対価もゴールもないのに、休み無く掘り続け「帰るよー」となった時「待ってーあとちょっと!!」とか言われた。
これが天才なのか。と、思った。